遺言の様式性
遺言は、民法の定める方式にしたがわなければ、することができません。これを遺言の様式性といいます。すなわち、民法の定める一定の方式にしたがわなければ遺言としての効力を有しないことを意味します。
民法は、遺言者の意図ないし要求や遺言者のおかれている状況に応じて、遺言方式を定めています。
普通方式として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言を規定しています。
特別方式として、死亡危急者遺言、船舶遭難者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言を定めています。全部で、7種類を定めていることになります。
遺言は、遺言者の最終意思を尊重し、その死後に効力を生じるものであるから、遺言者の真意を明確にし、これを保障するため、法律上の方式にしたがってなされる厳格な様式行為とされています。
その結果、方式に反した遺言は効力を生じません。もっとも、無効行為の転換法理を明文化した規定により、秘密証書としては方式に欠けるため無効でも、自筆証書遺言として有効とされることはあります。
遺言は、契約や合同行為とは異なり、遺言者の一方的な意思により効力を生じる相手方のない単独行為という法的性質を有しており、遺言者はその生前、いつでも遺言の全部または一部を自由に撤回できます。
遺贈など遺言によって利益を受ける者が存在する場合であっても、その者は相手方となるのではありません。
遺贈と死因贈与とは、遺言者の死亡後に効力を生ずる点では同一であり、死因贈与には遺贈の規定が準用されていますが、死因贈与は契約であって、単独行為である遺贈とは異なるから、方式については遺言の方式にしたがうべきことを定めたものではないとされます。
遺言は効力を生ずるには、方式を遵守し、撤回されていないものでなければなりません。これらの要件を満たして遺言が効力を生ずると、表示の内容である遺言事項がそれぞれの効力を持つことになります。その内容は、遺言者の意思表示の内容にしたがって、定まってきます。
しかし、方式を遵守している遺言であっても、遺言者の真意であるか疑わしい場合もあり、また、遺言の方式にしたがっていないが遺言者の最終の意思が明確な場合もあります。
前者については、その真意は遺言の方式以外の資料にもとづいて、裁判官の実質的判断によって決するほかありません。
後者については、方式を厳格に要求することが返って遺言者の地位確保の妨げになるおそれがあるため、遺言の様式性の趣旨に反しない限り、解釈によってその厳格性を緩和し、なるべく遺言者の最終的意思を実現すべきでしょう。
遺言事項
遺言は、効力が生じる時点で存在しない表意者の一方的な意思表示に、その効果意思どおりの効力を与える制度です。表意者の生存中はいつでも何度でも撤回することができ、死後に紛争を招きやすいものです。
そこで、遺言者死亡後にその真意を確定することができるように、遺言によってなしうる事項(遺言事項)は、法律で定められています。
遺言事項は、① 遺言でしかできないこと(協議の遺言事項)、② 遺言でも生前行為でもできること(広義の遺言事項)があります。
① には、未成年後見人または未成年後見監督人の規定、相続分の指定、または指定の委託、遺産分割方法の指定、または指定の委託と遺産分割の禁止、遺産分割における相続人相互間の担保責任の指定、遺贈、遺言執行者の指定、または指定の委託があります。
② には、子の認知、相続人の廃除、または廃除の取消し、一般財産法人の設立、特別受遺者の相続分に関する定め、祖先の祭祀を主催すべき者の指定、信託の設定、保険金受取人の変更があります。
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