よくわかる遺言｜越谷・春日部の遺言作成（せんげん台駅1分／土日祝営業）

保管の対象となる遺言書

保管の対象となるのは、法務省令で定める様式にしたがって作成した、無封の自筆証書遺言の遺言書に限られます。

封冠された遺言書は保管することができないので、遺言者自身で開封して、保管を申請しなければなりません。

外国人が作成した自筆証書遺言も対象となります。ただし、遺言書が外国語により記載されているときは、申請書に、日本語による翻訳文を添付しなければなりません。

法務省令では、A4版用紙を用いること、片面記載、ページ番号記載、無とじ、用紙の上下左右に所定の余白を設けることなどが定められています。

遺言書保管所

遺言書の保管および情報管理の事務を行うのは、法務大臣の指定する法務局であり、当該法務局は「遺言書保管所」と称されます。

全国一律でサービスを提供する必要性や個人情報の観点から、十分な設備を備える必要性などを踏まえて、また利用者の利便性を考慮して、支局などにおいても利用者のアクセスを可能にするものとされています。

全国各地域の本局、支局など３１２箇所（法務省の本制度の紹介パンフレットに掲載）が、遺言書保管の事務を司る法務局として指定されています。

遺言者は、その住所地または本籍地、あるいは遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する、遺言書保管所（ただし、他の遺言書が現に保管されている場合は当該他の遺言書を保管する遺言書保管所）の遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができます。

「遺言書保管官」は、遺言書保管事務を取り扱うものとして、法務局長・地方法務局長が指定する法務事務官です。彼らは、法務省などが実施する各種研修により、民法などの関係法令に関する高度な専門的知識などを習得し、登記事務などの実務経験を十分に積んだ法務事務官が指定されます。

本人出頭主義

遺言者は、自ら遺言書保管所に出頭して、遺言書保管の申請をしなければなりません。

この本人出頭主義は、本人の遺言書であることが確かなものを保管することができるという利点があります。

その一方、高齢者、特に身体に故障があって出頭が困難な者に対しては、保管制度利用の大きな制約となります。親族などが付き添い、車椅子ででも本人が出頭することが必要であり、代理人、使者、郵送などの方法によることはできません。

法制審議会民法（相続関係）部会の審議では、これらの方法も検討されましたが、偽造・変造をできる限り防止するために、代理人による申請などの方法は採用されませんでした。

これに対しては、限られた数の法務局などへの出頭を強制されるということは、物理的にあるいは交通の便という点から見て、多くの場合、遺言者にとってかなりの負担であり、この保管制度を利用することを躊躇させかねないことになります。

そして、本制度の利用促進をはかろうとするのであれば、公正証書遺言のように身体的な理由で保管所への出頭ができない者のために、係官の出張を一考すべきであったという指摘があります。

申請書の提出および本人確認

遺言者は、遺言書に添えて遺言書の作成年月日、遺言者の氏名、出生年月日、住所および本籍（外国人は国籍）、受遺者・遺言執行者の氏名または名称および住所、その他法務省令で定める事項を記載した申請書を提出します。

外国語により記載されている遺言は、日本語による翻訳文を付けなければなりません。

また、本籍の記載がある住民票を添付し、本人確認のためマイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、旅券、乗員手帳、在留カード、特別永住者証明書などの書類を一点添付しなければなりません。

遺言書保管官は、必要があれば、本人確認のために書類の提示・提出、説明を求めるものとされています。この本人確認手続きにより、遺言書の保管を申請する者が本人であることを確認することで、遺言の真正な成立を基礎づける間接事実となり、遺言者死亡後の遺言の有効性をめぐる争いを抑止することにもなると期待されています。