特定物の遺贈の執行
遺贈、財団法人の設立、信託の設定など、遺言内容が財産の処分に関することの場合、遺言の執行が必要なケースが多く、紛争になりやすいものです。
たとえば、遺言の内容が特定の財産の遺贈であるという特定物遺贈の場合には、遺言執行者はその対象となる特定財産についてのみ管理権を有します。
一般に特定物遺贈の対象である財産に関する所有権自体は、遺贈が効力を生ずると同時に当然に受遺者に移転すると解されますが、遺言執行者としては、移転登記などの対抗要件の具備や、目的物の引き渡しなどをしなければなりません。
もし、遺贈の目的物の完全な移転を妨げるような事情がある場合には、遺言執行者はそれを廃除すべき権利義務を有し、相続人の管理処分権は否定されることになります。
したがって、たとえば相続人が遺贈の目的である不動産に抵当権を設定したり、相続登記をしている場合その登記の抹消を請求することができます。
また、第三者が虚偽の移転登記をしている場合も、登記の抹消を求めることができます。
遺贈の目的物が賃貸家屋であれば、遺言執行者は家賃の受領権限もあります。
不特定物の遺贈の執行
遺言内容が不特定物遺贈の場合には、遺言執行者は遺言の趣旨にしたがい遺産のなかから種類物を特定したり、第三者より調達してこれを受遺者に引き渡さなければなりません。
不特定物遺贈では、特定の種類物が相続財産のなかに存在しなくても遺贈自体は有効であって、遺言執行者は場合により相続財産の換価処分をしなければならないことがあります。
金銭遺贈の執行
金銭遺贈の場合には、その金銭を一時に給付すべきときは、遺言執行者は現実に一定額の金銭を相続財産のなかから給付しなければなりません。もし給付すべき額の金銭が相続財産中にないのであれば、相続財産を換価処分して調達することになります。
また、毎月一定額の金銭を定期的に給付すべきときは、受遺者にその内容に応じた定期金債権を与えるのが遺言の趣旨であり、遺言の効力発生と同時に受遺者に債権が移転すると解されます。
包括遺贈の執行
包括遺贈の場合には、包括遺贈によって受遺者は相続人と同一の地位を有するとされているので、多くのケースでは遺言の執行を必要としないかもしれません。
しかしながら、遺産の処分を前提にして遺贈がなされているような場合には、その趣旨に応じて遺言執行の必要が生じます。
たとえば、包括遺贈にもとづく移転登記は、遺言執行者と受遺者との共同申請によることとなっています。また、遺言者の全財産である預貯金が包括遺贈された場合に、遺言で指定された遺言執行者は遺言者の貸金庫の開閉権を有すると判示されたケースもあります。
さらにまた、包括遺贈の遺言に遺言執行者がある場合には、遺言執行者は遺言の執行に必要な行為として、金融機関に対して預貯金などの払戻し請求をなしうるとする裁判例もあります。
遺産である預金債権を、特定の相続人に相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)で、遺言執行者は当該預金の払戻し請求ができるとしています。
これに対して、預金債権については法定相続分の割合で当然分割帰属するので、遺言執行者に払戻しの権限も義務もないとする判例もあります。
財団法人設立などの執行
財団法人設立やそのための財産の拠出が遺言の内容である場合には、遺言執行者は財団法人の設立に必要な一切の行為をしなければなりません。
つまり、一般財団法人の設立は遺言による設立も可能であり、設立者が定款を作成し、公証人の定款認証を受け、300万以上の財産を拠出し、設立の登記をすることによって行われます。
遺言執行者が、遺言によって財産の拠出をしようとして管理する相続財産の株式を、設立手続き中の財団に帰属させ、その代表機関名義に名義を書き換える行為も遺言執行に必要な行為にあたります。
遺言信託の執行
遺言信託、すなわち信託の設定が遺言内容である場合には、信託財産を受託者に帰属させることで受益者に受益権を発生させることになります。
したがって、遺言執行者は、信託財産の受託者への移転、受益権成立の旨の受益者への通知、受託者が信託の引受けを拒絶した場合の新受託者の選任請求などの必要な行為をしなければなりません。
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