よくわかる遺言｜越谷・春日部の遺言作成（せんげん台駅1分／土日祝営業）

公正証書とは

公正証書とは、公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。公文書は文書の成立について、偽りなく正しいものであることの証明であり、形式的証拠力と執行力を有しています。

公正証書には、遺言公正証書・離婚給付公正証書・金銭の貸借に関しての公正証書・土地および建物の賃貸借に関する公正証書などがあります。

公証人は、法務省が管轄する役所である公証役場で執務しています。よく質問されることがありますが、地方自治体の市役所や区役所等とは別のものです。

公正証書の長所

公正証書には以下のような長所があります。

１：高い証明力

裁判において公正証書が証拠としてあげられた場合、裁判官はこの公正証書を証拠として採用できます。証拠として採用された公正証書は高い証明力があるということです。

たとえば金銭消費貸借契約（金の貸し借りの契約）を公正証書で作成しておけば、のちに借りた覚えがない、と知らないふりをされても心配がありません。法廷で裁判官に相手にされることはないでしょう。つまり公正証書作成の証明力が確保されているということです。

２：強制執行力

強制執行力とは、裁判所関与のもと給料や預金等の差し押さえができるということです。差し押さえによって債権を回収するということです。通常取引で債務不履行になった場合、債権者が債権の回収をはかるには、まず裁判を起こし、勝訴の判決を受けて強制執行が認められることになりますが、当然時間も費用も必要です。しかし、公正証書で強制執行されてもかまわない、という執行認諾約款の記載があると裁判を起こす必要がありません。公正証書が裁判所の確定判決と同様の執行力を持っていることになります。

なお、債権者が債務者へ直接強制執行ができるというわけではありません。強制執行の手続きは、法律にのっとり裁判所または執行官に申し立てを行います。

３：信頼性と安全性

公正証書は、公証人が作成する際に当事者の身分を確認します。印鑑証明書と実印、運転免許証などの公的な証明書で本人確認をします。また、公証人は公正証書にする内容が違反であったり、無効・取り消しの原因に該当するものだったりした場合、公正証書を作成しません。したがって、公正証書には高い信頼性・安全性があります。

さらに公正証書の原本は公証役場で保管（原則20年）されます。公正証書の原本が紛失したり、盗難にあったり、偽造・変造されることがあったり、という心配がないという点でも信頼性・安全性が確保されています。

４：債務者への心理的圧力

公正証書に執行認諾約款の記載があれば、債務不履行の場合にただちに強制執行が可能です。債務者にとっては、公正証書の契約のとおりに履行を怠らないようにしなければならない、という心理的圧力にもなります。

公正証書作成の厳格な要件

公正証書の作成には、以下のような厳格な要件が定められています。

1. 公正証書作成の依頼者は、公証人に身分を証明しなければなりません。印鑑証明書、実印、または運転免許証などの提出が求められます。
2. 公証人は身分を確認しなければ公正証書を作成することができません。
3. 当事者は公証人の前で公正証書の内容を確認し、当事者の署名・押印を必要とします。

さらに、公正証書の内容が違法でないか、有効なものであるか、も確認します。

1. 公証人は、公正証書の内容が違法だったり無効の原因になったりするものであると公正証書を作成することができません。
2. 当事者が公証人に、虚偽の内容で公正証書を作成させた場合は、刑事罰（5年以下の懲役または50万円以下の罰金）に処せられます。

公正証書の短所

公正証書を作成するには、公証人に作成してもらうための費用がかかる点です。公証人への手数料、公正証書謄本作成の用紙代などの費用がかかります。また、原則、公証役場まで出向く必要がある点です。もし自筆証書であれば、自分の好きなときに好きな場所で自由に書くことができます。公証人に出張を求めることもできますが、出張にかかる費用も必要になります。