総説
遺贈が効力を生ぜず、または放棄によってその効力を失った場合に、当該遺贈の客体は、原則として遺言者の相続人に帰属することになります。もっとも、遺言者が遺言で別段の定めをしていたときには、その定めが適用されます(民法第995条)。
これは特定遺贈にも包括遺贈にも適用される、と解する考え方が多いようです。
遺贈が効力を生じないとき
「遺贈が、その効力を生じないとき」とは、遺贈の失効の場合のほか、停止条件付の遺贈において条件の不成就が確定したとき、受遺者に欠格事由があるとき、被後見人が後見の計算終了前に後見人に対して遺贈をしたとき、などを指します。
遺言自体の効力が否定される場合(方式違反、意思無能力、遺言でされた意思表示の取消しなど)には995条の適用がなく、法定相続の規定があてはまる、とされます。
包括受遺者
包括遺贈が効力を生じず、あるいは放棄によってその効力を失った場合に、その受遺分が帰属すべき「相続人」には、他の包括遺贈の受遺者も含まれることになるのでしょうか。
学説には争いがありますが、最高裁判所は含まれないという説を採用しました。したがって、他の包括受遺者の受遺分に添加は起こらないことになります。
相続財産に属しない権利の帰属
遺贈の客体が、遺言者の死亡の時点で相続財産に属しなかった場合において、遺贈義務者にこれを取得させたうえでそれを受遺者に移転することを命ずる趣旨の遺言は、通常考えられません。したがって、当該遺贈は効力を生じないことを民法第996条は定めています。
もっとも、当該客体が相続財産に属するかに関係なく、それを受遺者に与えようとするのが遺言者の意思であることが証明されれば、その意思にしたがいます。
民法第996条の対象となる遺贈
民法第996条
遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。ただし、その権利が相続財産に属するかどうかにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認められるときは、この限りでない。
本条は、包括遺贈には適用されません。では、特定遺贈であれば本条は必ず適用されるでしょうか。
特定の物・権利の遺贈に、本条は適用されることには問題ありません。他方で金銭の遺贈には、本条の適用はないする説が多数です。
相続財産への帰属
相続財産に属しないというときには、物理的には存在するが他人に属している場合がまずは想定されます。
遺贈の客体であった特定の物・権利が遺言者の死亡時に滅失していた場合、いわゆる原始的不能ゆえに当該遺贈は絶対的に無効である、といわれることがあります。
しかし、遺言者の死亡前に当該客体が滅失していても遺贈の趣旨によっては、本条但書きにより遺贈が効力を生ずることがある、と考えることもできます。
遺言者が、遺贈を定める遺言を作成したのちに当該遺贈の客体を生前処分した場合には、その遺贈は撤回されたものとみなされた結果、効力を失いますが、本条の問題になるわけではありません。
遺贈義務者による費用の償還請求
遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について必要費または有益費を支出した場合において、それらの費用について受遺者が償還義務を負います。
特定物の遺贈における遺言者死亡後の費用支出と、不特定物の遺贈において目的物が特定したのちの費用支出を含みます。遺贈義務者が遺言者の死亡前に、遺贈の目的物について支出した費用は、遺言者に対して請求すべきものであります。これは、遺言者の死亡後は相続債務としての取り扱いを受けますので、問題外です。
「遺言者の死亡後」に支出した費用がすべて対象となるわけではありません。
果実を収取するために支出した通常の必要費は、果実の価額を超えない限度でその償還を請求することができますが、これは受遺者が取得すべき果実にかかる費用、すなわち「遺贈の履行を請求することができるとき」以降に支出した費用に限られます。
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