自筆証書遺言作成のポイント
自筆証書遺言は自分で作成する遺言書ですが、そこにはやはりルールがあります。重要なポイントを10個記載します。
- 全文を自分で書きます
- 日付(作成年月日)、署名、押印は不可欠です
- 加除訂正は、方式にのっとって行います
- 用紙は自由です。保存に耐えられるものがよいでしょう
- 筆記用具は自由です。ボールペンや万年筆、サインペンなど改ざんされにくいものを使うとよいでしょう
- 内容は具体的にわかりやすく、箇条書きにします
- 必ず、下書きをしてから清書をします
- 財産の記載は、はっきり特定できるように書きます。財産目録は、パソコンなどで作成したものや、不動産の登記事項証明書の写し、預貯金の通帳コピーを添付してもよいです
- 用紙が複数枚におよぶときは、綴じるか契印をします
- 封印をするかしないかは自由ですが、遺言書に使った印鑑で押印した方がよいでしょう
表題部の書き方
表題はなくても構いませんが、遺言書であることがはっきりわかるように「遺言書」「遺言状」「遺言」などと書いておいた方がよいでしょう。
日付、署名、押印の3点セットは必須
西暦でも元号でもよく、数字は漢数字でも算用数字でも構いません。
日付の書き方は、「○月○日」は、○年が抜けているので不可です。「○年○月 吉日」は日にちの記載がありませんので採用されません。
「令和○年の誕生日」「満60歳の誕生日」「令和○年元旦」のような書き方でも、年月日が特定できればよいと解されています。確実な方法としては、「令和○年○月○日」とか「20○○年○月○日」のような書き方の方がよいかと思います。
署名は戸籍上の実名に限らず、遺言者が通常使用しているペンネームや芸名、雅号でもよいとされています。
押印も必須条件です。印鑑は実印でなくてもよく、認印でも構いません。
加筆、削除、訂正は、決められた方式にのっとって行わないと無効になってしまいます。遺言者の住所は書いても書かなくても構いません。
用紙、筆記具
用紙は自由ですが、保存に耐える丈夫な紙を使います。大きさは、家庭裁判所の検認の際や相続の手続きなどでコピーをとるので、一般的なA4サイズがよいと思います。
用紙が複数枚におよぶときは、全体として前後のつながりから1通の遺言書と確認できれば契印はしなくても構いませんが、契印をした方が無難かと思います。自筆によらない財産目録には、各ページに署名・押印しなければなりません。
筆記用具にも規定はありませんが、改ざんのおそれがある鉛筆は避けましょう。万年筆やボールペン、サインペンなどを使用します。
内容の書き方
遺言の内容は、誰に、何を相続させるのか、遺産をどう分けるのか、遺言者の意思が正確に伝わるように具体的に書きます。難しい法律用語や専門用語を使うよりも使い慣れた言葉で書いたほうがよいでしょう。
表題に続いて、「遺言者○○○○は、この遺言書により次のように遺言する」「遺言者○○○○は、以下のように遺言する」などと書いてから遺言事項を書くのが多いようです。
遺言事項は、項目ごとに番号をつけて箇条書きにするとわかりやすくなります。必ず下書きをして、内容や数字、文字、氏名などに間違いがないかどうか、よく確かめてから清書します。
財産の記載
相続財産の記載は、財産が特定できるように一つひとつ正確に記載します。たとえば、「土地は長男に、家は妻に相続させる」などのような、曖昧な書き方は財産の特定ができませんので、おすすめできません。
特に土地や建物の財産は、登記記録の記載と一致しないと相続の登記ができないこともあるので、登記事項証明書の記載通りに記載します。未登記の場合は「固定資産税課税台帳登録証明書」の記載通りに記載します。
預貯金についても、複数あるときは、客観的に特定できるように記載します。金融機関の支店名、預金の種類、口座番号などです。また、株式があれば、証券会社名、株式の会社名、株式数などを記載するとよいと思います。
財産目録を別紙添付することができます。この場合は、手書きではなくパソコンで作成したものでも構いません。また、登記事項証明書の写し、預貯金の通帳コピーを添付することも可能です。
相続人や受遺者の特定
財産を譲る相手が妻や子どものように、簡単に特定できる場合は「遺言者の妻○○に」や「長男○○に」といった記載でもよいでしょう。同姓同名の人がいる場合や法定相続人以外の受遺者に譲る場合は、受け取る相手が特定できる形で記載します。
たとえば、「遺言者の姪○○○○(昭和○年○月○日生、住所○○○○)」のように、生年月日住所を記載したりします。
封筒に入れての保管の場合
遺言書は必ずしも封筒に入れて封印しなければならないものではありません。しかし、秘密の保持や変造、改ざんを防ぐとか汚損などから守る意味でも、封筒に入れて封印している方が多いようです。
封筒の表には「遺言書」や「遺言書在中」などと書いておきます。裏には、遺言者の名前を書いておきましょう。
自筆証書遺言は死後、保管者や発見者が家庭裁判所に届け出て、検認の手続きをしなければなりません。また、封印された遺言書は、勝手に開封することができません。検認の際に、すべての相続人に立ち会いの機会を与えたうえでなければ開封できないことになっています。
自筆証書遺言の一覧
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