よくわかる遺言｜越谷・春日部の遺言作成（せんげん台駅1分／土日祝営業）

民法の規定による遺言の方式

遺言は、必ず文書で作成しなければなりません。文書の仕方には、民法による決められた方式があり、それにしたがって作成しないと法的に無効になってしまいます。遺言の方式には、大別して普通方式と特別方式がありますが、一般には普通方式で作成されます。

普通方式の遺言の種類

普通方式の遺言には、次の３種類があります。

1. 自筆証書遺言
2. 公正証書遺言
3. 秘密証書遺言

自筆証書遺言の特徴

1. 作成場所は自由です。
2. 作成方法は、本人が自筆で作成します。ただし、財産目録はパソコンなどでの作成も可能です。
3. 証人・立会人は不要です。
4. 費用は自分で作成するのですから、かかりません。
5. 署名・押印は、ともに必要です。押印は実印・認印・拇印のいずれも可能です。
6. 封印は不要です。封筒に入れても封印は必要ありません。
7. 秘密保持については、自筆証書遺言は可能です。
8. 自筆証書遺言の短所としては、方式、内容によっては無効になる可能性があります。死後、発見されなかったり、紛失・改ざんなどのおそれもあります。
9. 死亡後の家庭裁判所の検認が必要です。ただし、法務局に保管されていた場合、検認は不要です。

公正証書遺言の特徴

1. 作成場所は公証役場で作成します。入院先・施設などに、公証人が出張しての作成も可能です。
2. 作成方法は口述筆記をしますが、パソコンが可能ですので、ほとんどがパソコンで作成されます。
3. 証人・立会人として、二人以上の証人の立会いが必要です。
4. 費用は作成手数料がかかります。
5. 署名・押印は、本人の署名・実印による押印、証人、公証人の署名・押印が必要です。
6. 封印は不要です。
7. 公正証書遺言は遺言内容・遺言したことが知られます。秘密保持については、完全ではありません。
8. 公正証書遺言の短所としては、費用がかかります。証人、作成準備が必要です。
9. 死亡後の家庭裁判所の検認については不要です。

秘密証書遺言の特徴

1. 作成場所は自由です。
2. 作成方法は、本人が作成します。自筆・代筆・パソコンが可能です。
3. 承認立会いについては、二人以上の証人と公証人が必要です。
4. 費用については、公証人の手数料が必要です。
5. 署名・押印は、本人が遺言書・封紙に署名・押印が必要です。また、証人・公証人は封書に署名・押印をします。
6. 封印が必要です。
7. 秘密保持については、遺言したことは知られますが、遺言内容は秘密にできます。
8. 秘密証書遺言の短所としては、遺言の存在は明確にできますが、方式・内容によっては無効になる可能性があります。
9. 死亡後の家庭裁判所の検認が必要です。

特別方式の遺言の種類

特別方式の遺言には、次の２種類があります。

1. 危急時遺言（一般危急時遺言と難船危急時遺言があります）
2. 隔絶地遺言（一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言があります）

特別方式の遺言は、病気や事故などで死が間近に迫っているような場合や、感染症病棟内や航海中の船舶内などの隔絶されたところにいる場合など、特別な事情におかれた際に行われる方式です。

遺言を作成したあとで状況が変わり、普通方式の遺言が作成できる状態になり、６ヶ月以上経過して生存している場合、作成した遺言は無効になります。

なお、疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授してこれをすることができます。
この方式の遺言について、口授の有無が問題になります。最高裁判所は、医師である証人の一人が遺言者の配偶者からの聞き取りにもとづいて弁護士が作成した草案を一項ずつ読み上げ、遺言者がその都度うなづく動作をして「はい」と返答し、最後に確認を求められて「よくわかりました。よろしくお願いします」と答えた事案において、その一連の行為は口授にあたるとしました。