よくわかる遺言｜越谷・春日部の遺言作成（せんげん台駅1分／土日祝営業）

秘密証書遺言

第972条
１.口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して、第970条第1項第三号の申述に代えなければならない。
２.前項の場合において、遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人は、その旨を封紙に記載しなければならない。
３.第1項の場合において、遺言者が封紙に自書したときは、公証人は、その旨を封紙に記載して、第970条第1項第四号に規定する申述の記載に代えなければならない。

秘密証書遺言作成の意義・内容

遺言内容の秘密を守りながら、遺言書の存在を明確にできる方式が「秘密証書遺言」です。

秘密証書遺言の本文は、代筆でもパソコン作成でも構いません。しかし署名だけは自筆でなければなりません。押印、日付も必要です。加除訂正については、自筆証書遺言同様、厳密な方法が要求されます。

秘密証書遺言の加除訂正は、自筆証書遺言の加除訂正の方式に準じます。変更についての付記・署名・押印は、遺言者自身がしなければならないかどうかについて、学説は分かれています。付記については、本文の筆者が遺言者自身であった場合でも、他人によることが認められるかと思います。署名は遺言者自身がすべきでしょう。押印は、遺言者の指示で筆者その他の者がしても差し支えないでしょう。

遺言者は、作成した遺言書を封筒に入れて、遺言書に押印した印鑑と同じ印鑑で封印します。封印した遺言は、公証役場で、承認二人以上の立会いのもとに公証人に提出し、自分の遺言である旨と住所、氏名を申し述べます。

公証人は、遺言者の申立てと日付を封紙（封筒）に記載し、遺言者、証人とともに、署名・押印します。

こうして、できあがった秘密証書遺言は、本人が持ち帰ります。公証役場には、遺言者がその日、秘密証書遺言を作成した事実が記録されます。

秘密証書遺言の家庭裁判所の検認

秘密証書の遺言者が死後は、自筆証書遺言同様、家庭裁判所の検認を受けなければなりません。自筆証書遺言同様、内容や方式が一定の条件を満たしていないと、死後、無効になってしまうおそれがあります。

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にすることができますが、手続きが面倒であり、遺言書を紛失した際には無駄になってしまいます。作成する場合には、司法書士などの専門家のアドバイスを受けて、遺言書を書いた方が無難でしょう。

また、死後発見されやすいように、信頼できる第三者に保管を託した方がよいと思います。

一般危急時遺言

一般危急時遺言作成の意義・内容

特別方式のなかでもっとも事例が多いのが、危急時遺言のなかの「一般危急時遺言」です。

一般危急時遺言は、事故や病気で死期が迫りながらも、意識がはっきりしているうちに、遺言しておこうとする人が利用する方式です。
口述筆記なので、遺言者が遺言内容を話せる状態でなければなりません。

作成には、証人として三人以上の証人の立会いが必要です。そのうちの一人に遺言の内容を口述筆記してもらいます。筆記はパソコンを使用しても構いません。

筆記した人は、遺言者と他の二人の証人に遺言の内容を読み聞かせます。証人全員がその内容が正しいかどうかを確認したうえで、署名・押印します。遺言者の署名・押印は不要です。
なお、証人は遺言内容と無関係な成人に限ります。

一般危急時遺言書の届出

遺言書を作成したら、２０日以内に証人の一人か利害関係人（推定相続人や受遺者など）が、遺言者の住所地の家庭裁判所に届け出て、確認をしてもらわないと無効になってしまいます。

この際の届出には、遺言書の写しのほか、診断書や申立人、遺言者、証人全員の住民票謄本が必要です。死後は家庭裁判所による検認も必要です。

なお、遺言書作成後、遺言者が危篤状態から脱し、普通方式の遺言書を作成できる状況になってから、６ヶ月を経過して生存している場合は、前に作成した一般危急時遺言は無効になります。