よくわかる遺言｜越谷・春日部の遺言作成（せんげん台駅1分／土日祝営業）

自筆証書遺言は、いつでも、どこでも、本人の自由に作成することができます。証人の必要もないので、遺言の内容も、遺言書を作成したことも秘密にしておくことができます。ただし、書式や内容について一定の条件を満たしていないと法的に無効になってしまうので、作成には細心の注意が必要です。

また、遺言書が死後に発見されなかったり、紛失することや第三者によって偽造・改ざんされるおそれもあります。

死後は、家庭裁判所に提出して、検認の手続きを受けなければなりません。ただし、２０２０年７月１０日より施行された遺言書保管法により、法務局で保管されている自筆証書遺言は、検認は必要ありません。

自筆証書遺言の作成方法と条件

自筆証書遺言は、全文を必ず自筆で書かなければなりません。代筆やパソコンで作成されたものは効力をもちません。自筆を要しますから、テープに録音したものやビデオに録画したものも無効です。なお、財産目録については、法改正により自筆でなくパソコン作成などでもよくなりました。ただし、一枚ごとに署名・押印の必要があります。

自筆証書遺言は、日付・氏名も自筆で書き、押印します。日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けても無効となります。

日付は、「〇年〇月〇日」でなくても、「滿〇歳の誕生日」というような書き方でも日付が特定されれば認められます。年は元号でも西暦でも構いません。ただし、「〇年〇月」のように、日の記載がない場合は無効になってしまいます。

署名は戸籍上の名前に限らず、遺言者が特定できれば通常使用しているペンネームや芸名、雅号などでも有効です。

押印の印鑑は、実印でなくても構いません。認印での押印も認められています。拇印も認められていますが、できれば避けたほうがよいでしょう。

書き間違いや内容を書き直すなど、加除訂正をする場合は、法律で決められた方式を守らないと、無効になってしまいます。たとえば、字を間違えたときは、間違えた文字を線で消し、押印し、「〇行目の〇字を訂正し〇字加入（削除）」などのように、欄外に訂正したことを記入し、署名しなければなりません。

自筆証書遺言の用紙や筆記用具

自筆証書遺言を作成する際の遺言書の用紙や筆記用具に制限はありませんが、用紙は保存に耐えるものを使用しましょう。大きさも規定はありませんが、家庭裁判所では検認の際にコピーをとるので、A４やB５などのサイズがよいでしょう。

筆記用具などにも規定はありません。ボールペン、筆、サインペンなどのいずれでも構いません。ただし、改ざんの恐れがある鉛筆は避けるのが望ましいでしょう。

書き上げた遺言書は封筒に入れて、封筒の表に「遺言書在中」と記載するのが望ましいでしょう。封筒は糊付けをするかしないかは自由です。糊付けをした場合の封印をするかしないかも自由です。

自筆証書遺言の検認と開封

自筆証書遺言は、遺言者の死後、保管者が家庭裁判所に検認手続きを申し出なければなりません。
自筆証書遺言の提出や検認を要求したのは、遺言書の現状を確認し、公正かつ確実に遺言内容が実現できるように保全すること、遺言に利害関係を持つ者に広く遺言の存在を周知徹底させるためです。

遺言書の検認は、遺言書の偽造・変造を防止し、その保存を確実にするための一種の検証手続きです。したがって、検認の実質は遺言書の形式対応などの方式に関する事実を調査し、遺言書の現状を確定する証拠保全のために過ぎず、実質的に遺言の内容、効力の有無など実体法上の効果を判断するものではありません。

検認手続きを得た遺言書でも、のちの訴訟で無効と判断されることもあるし、検認により遺言の有効性が推認されることにもなりません。遺言書が真正に成立したと推定されるわけでもないのです。

家庭裁判所での検認の手続きの際に、すべての相続人に立会人の機会を与えたうえでないと、開封できないこととなっています。検認の日時は、家庭裁判所が定め、自筆証書遺言の保管者および相続人の全員に通知します。